075-874-2490
〒615-0864 京都府京都市右京区西京極新明町3ネットワークジャパンⅡ1F
営業時間:9:00~18:00
在庫買取、在庫処分(アパレル業界の現状と課題)
アパレル業界の現状
矢野経済研究所の国内アパレル産業白書2020のデータによると、
2019年の国内アパレル総小売市場規模は前年比99.7%の9兆1,732億円となり、
横這いから若干のマイナスの推移となっています。
品目別に市場をみると、婦人服・洋品市場が前年比99.7%の5兆7,137億円、
紳士服・洋品市場が同98.5%の2兆5,453億円、ベビー・子供服・洋品市場が同99.5%の9,141億円となり、
いずれも微減という状況です。
また国内アパレル産業白書2020では販売チャネル別のシェアも調査しています。そのデータによると、
百貨店は前年比93.6%の1兆6,797億円、量販店は同98.2%の7,933億円、専門店は同99.7%の5兆514億円、
その他(通販等)は同105.4%の1兆6,428億円と、その他(通販等)チャネルが伸長したという結果でした。
国内の衣料品市場を更に長期トレンドでみると、2016年6月に経済産業省がまとめたアパレル・
サプライチェーン研究会の報告書によると、国内の衣料品市場規模は、1990年に約15兆円であったので、
そのピークから比べると約2/3の市場規模に縮小したことが分かります。
いずれにしても国内のアパレル市場2001年以降約9兆円から10兆円の間で、微増、微減を繰り返し、
ほぼ横ばい、大きな落ち込みがないと同時に伸長ないのが現実です。
低価格が進行
少し古いデータになりますが、経済産業省のレポートによれば、1990年と2010年を比較してみると、
同時期の国内生産と輸入を合わせた国内供給量は、約20億点から約40億点へと倍増しているため、
単純計算では国内の供給単価は、20年の間に三分の一に下がったことになるのです。
更に同時期の衣料品購入単価を総務省の家計調査でみると、2010年は1990年に比較して6割弱の水準にあります。
そしてこの間の衣料品の輸入浸透率は約50パーセントから96パーセントへと急激に上昇しており、
縫製の工程が海外にシフトして製造原価が低下したことも低価格化を進行させたことになります。
衣料品に対する価値観の変化
現在の就活生が生まれたのが1999年から2001年あたりですから、
就活生の皆さんの衣料品に対する価値観はユニクロやしまむらといったSPA企業の成長が色濃く影響していると思います。
もちろんファッションは個人の嗜好性が強く出る分野であるため、様々なブランドやショップ、
スタイルを愛している方は沢山いて括ることは不適切かもしれません。
しかしバブル崩壊以降、給与所得や可分所得が増えていないこともあり、
堅実な消費をベースとしてモノよりコトに対する消費を楽しむ傾向が強くなっているのは確かなことでしょう。
もちろん有名ブランドやハイファッションに対する憧れはありますが、
たとえばデートの時でも身の丈に少しプラスする程度のおしゃれでも全く違和感はないでしょう。
おしゃれが好きな人でも1シーズン着ることができれば良いという割り切りで、
比較的低価格なファストファッションをコーディネートして楽しむなど、バブル時代のブランド志向とは違う価値観でファッションを楽しんでいます。
またユニクロをはじめとしたSPA企業の製品品質も高くなり、
カジュアルなファッションセンスを満たして日常生活には必要充分な衣料品を提供しています。
そのため一部の富裕層を除いてファッショにはそれ程お金を掛けず、
どうしても高額な衣料品が必要ならレンタルするというライフスタイルも定着してきています。
総需要が伸びない中では市場のパイを取り合う競争になるのは必然です。
そしてこの20年から30年の間にアパレル市場で成長できた企業と、伸び悩み、
もしくは衰退してきた企業、高いブランド価値を維持してコアなファンを掴んで生き残っている企業、
Eコマースを軸に新しいビジネスモデルで市場に参入した企業が混然としているのが現在のアパレル業界の実像です。
アパレル業界を牽引するSPA企業とECモデル
上記の企業の中で最も苦戦しているのが高級ブランドやハイファッションでもなく、
ユニクロやしまむらのようなベーシックなカジュアル衣料やファストファッションでもない中間的なブランドや小売業です。
その中でも店舗販売に依存して、古い商習慣やサプライチェーンをそのままにしているブランドは苦しい立場に追い込まれています。
このようなブランドでは特に店舗販売とECでの販売のバランスをとるのが非常に難しく、
自社のWebサイトやZOZOTOWNや楽天、アマゾンといったEC上でも中途半端なポジショニングになってしまっています。
ユニクロやしまむらのビジネスモデルは店舗では必要十分な接客は行いますが、
コーディネートなどのファッションに対するアドバイスは行わず、顧客もそれを期待していません。
リアル店舗でも、EC上でも「気に入ったら買う、買わない」を決めるだけです。
それに対し中間のブランドは、ショップの店員のアドバイスを参考にしながら価格も含めて最も納得できるものを購入する購買パターンであるため、
ECでの親和性は限定的、補完的なものになってしまいます。
高級ブランドは、そもそも店舗でのエクスクルーシブな接客や、雰囲気、体験価値もブランドの一部であるため、
ブランド価値さえしっかり構築してコアなファン層をつかむことができればビジネスを維持していけるビジネスモデルをとっています。
従ってEC単独での競合は起こりにくいモデルです。
バブル崩壊後の日本経済の停滞した経済状況とファッションに対する価値観の変化、
インターネットという新しい消費チャネルの登場が現在の日本のアパレル業界を説明する変数と言ってよいでしょう。
アパレル業界の課題
この20年アパレル業界を牽引したSPAビジネスモデルも進化を続けているとは言っても、
未来まで盤石ということではありません。日本市場をビジネスの中核にしている企業は、
日本の人口減少と少子高齢化の影響を受けるのは自明の理です。
人口減少と少子高齢化
ここ20年ほぼ横ばいが続いている国内のアパレル市場ですが、長期的には人口減少と少子高齢化、
それによる経済の低成長やマイナス成長によって長期的には市場そのものが縮小していくことは明らかです。
もちろん衣料品にも衣料品のスマートデバイス化(服の一部分を触るだけでスマートフォン等の電子デバイスが操作できるなど)の
イノベーションは起こることが予測はされていますが、それによって衣料品の総需要が拡大することは考え難いのです。
従って国内市場だけに依存しているアパレル企業は、頑張っても現状維持か低成長を維持していくことができるかどうか、
今までと同じであれば他社に吸収合併されるか、衰退の道をたどっていくことになる可能性が大です。
成長のためにはファーストリテイリングのように積極的に海外に打って出る道はありますが、、
海外で成功を収めるのは簡単ではなく、現状それができるのは限られた企業ということになります。
SPAの課題
現在のアパレル業界で勝ち組のビジネスモデルとされるSPAですが、
このモデルは1986年にGAPの会長であるドナルド・フィッシャーによって定義されて以来約30年あまりに渡り
世界のアパレルのマス需要を牽引してきました。
日本のアパレル業界でSPA化が進んだのはアパレルブランドのワールドのスパークス構想(92年)が起点と言われています。
それまではこの業界でキャリアを積んできた熟練社員の経験や勘を頼りにしてきたため、作りすぎれば在庫ロス、
足りなければ販売機会ロスを起こしていたのがアパレル業界でした。
このモデルを強力に推進していった代表的企業がユニクロやGUブランドを展開するファーストリテイリングやしまむらです。
過去の販売データを基に売れ筋が読めるシーズン初期商品はあらかじめ作り込み、
実需期は店頭の売れ行きデータをベースにクイックレスポンスで消費を生産する需要予測を行うと同時に、
製造、流通、小売段階での一貫した管理を行うことで高粗利益率ビジネスモデルを確立していったのです。
しかしながらこのビジネスモデルが成功を収め、多くの企業がその手法を取り入れて結果、
同質化や企画(デザイナーやパタンナー)の外注化(丸投げ)が進んだこともあってSPA企業であれば成功するとは言えない状況になっています。
アパレルの需要予測は天候、気温によって大幅にずれてしまうため、
最近の気候変動の激しさによって読みにくいことや、小売、流通、
製造段階でのタイムラグどうしても発生してしまうことによっても限界が見えています。
売れ筋商品をクイックレスポンスで店頭に投入することの重要性は現在でも変わってはいませんが、
現状は維持できてもそれだけではかつてのような成長を見込めない状況なのです。
それでもITとデータを駆使して売れ筋の需要予測の精度をあげたり、小売・市場の動向を素早くキャッチして生産や流通に反映させたり、店舗内での無駄や無理を減らして業務効率を改善させるなど、SPAモデルを常にアップデートすることが必要不可欠であり、最大の課題となっています。
アパレル業界の未来
アパレル業界の未来を考える上で、重要なのがデジタルとの向き合い方でしょう。
消費者の購買行動の中にすでにWebでの検索行動や、「ショールーミング」、「ウェブルーミング」が根付いています。
ショールーミングは実際の店舗をショールームとして品物を見て触って確認するために使い、
購入は家に帰ってから安く買えるオンラインショップを通して行うという購買行動です。
ウェブルーミングはその反対で、商品をオンラインで最初に検索してから実店舗を訪れて商品を最終確認して購入する購買行動です。
この両方とも既に日常的に行われており、店舗の役割や機能も変化しています。
アパレル企業は店舗で行うサービスと、デジタルで提供するサービスを消費者の期待にそうように最適化していく必要があります。
特に店舗は「人によるコミュニケーション」が可能なので、
商品へのアドバイスが欲しいと思っている消費者に対してはその価値を提供して、
コアなファンに育ってもらうような仕組みをリアル、デジタルの両方で行っていくなどの活動が重要になっています。
非接触型ICタグを使用することによって物流から店頭管理までの効率化を行い、
人の価値を接客業務の質の向上や販売現場の人手不足対策にも役立てるなど、
先端技術を利用しながらWEBとリアルのデータを統合して活かしていく企業が行き残っていくでしょう。
更に近未来ではAIによるデザインや流行予測、需要予測による生産と販売の効率を高めて過剰在庫を減らし、
セールに頼らず適正な利益を確保することも可能になるでしょう。
消費者にはVRを利用した試着やフィッティングなどのサービスも普通に行われる時代がすぐそこまで来ています。
D2Cビジネスと個人間取引
ファッションが好きな人は「自分のこだわり」を持ってブランドや服を選んで、コーディネートを行っています。
マスの消費が力のあるSPA企業に集約されていくとしても、
「自分のこだわり」をもって自分を表現する服を選びたいというニーズは消えることはないでしょう。
富裕層はハイブランドやハイファッションでその願望を満たしていく
購買行動に大きな変化が起こらないでしょう。
一般的な生活者が「自分のこだわり」を表現する願望を満たす存在として注目されているのがD2Cブランドです。
D2C(Direct to Consumer)ブランドはメーカーや工場が自社商品を開発し、
主にECサイトを利用することで中間業者を通さず、直接消費者に商品を届けるモデルのため、
消費者は高品質な商品を低価格で手に入れることができるモデルです。
通常の場合そのブランドの創業者の「こだわり」、「思い」、「ストーリー」や「ポリシー」が機能性と併せて実現しています。
消費者との距離が圧倒的に近く、自分の感性や考え方、価値観にフィットすれば「知る人ぞ知る」的な満足感すら得られるため、
アパレル業界の新しいトレンドになりつつあります。
またCtoC(Consumer to Consumer)モデルではハンドメイドマーケットが注目されています。
国内大手のミンネは作家数がなんと14.6万人、出品されている作品数が200万点近くもあり、
洋服やアクセサリーの出品を見ているだけでも楽しいサイトです。気に入った作家にはリピーターもついています。
まさに「自分だけのもの」に近い購買欲求を満たせる選択肢としてその動向が注目されています。
シェアリングエコノミーとサブスクリプション
ドレスや礼装、訪問着などのレンタルは昔からありましたが、
最近ではアパレルのサブスクリプション(定額制利用料支払い)モデルが登場しています。
一般的に働いている女性は毎日同じ洋服を着て職場にいかないため、
服のコーディネーションは洋服に対する支出と同時に頭の痛い問題です。
その悩みにサブスクリプションという手法でアプローチして事業化したのがairCloset(株式会社エアークローゼット)です。
利用者は例えば毎月9,800円のコースを選べば、洋服はスタイリストが服を選定してくれて、
借り放題、返却期限なし、クリーニング料不要のサービスが受けられるというものです。
様々な業界でモノは所有しなくてもシェアして利用できる方が合理的という考え方も広まっており、
アパレル業界でもそれを実現する企業が生まれてきました。
このサービスの利用者が更に広まってビジネスが拡大していくと、
提供する洋服の品質の向上にも反映され好循環が生まれて、
現在の販売を前提としたアパレルビジネスにとって手ごわい競合になる可能性もあります。
アパレル業界にも様々な変化が起こっています。
「ファッション界では今日流行ったものも明日には消える!」は、
アメリカの人気テレビ番組「プロジェクトランウェイ」のMCであるハイジの決めセリフですが、
変化のスピードが速く、人の生活にも密着している業界なので興味深く、面白さを感じる方も多いかと思います。
廃棄ロスが利益を圧迫
アパレル製品は、トレンドという特有の「消費期限」があります。
値引き販売をしてもアパレル製品には、トレンドという特有の「消費期限」があります。
値引き販売をしても残ってしまった在庫は販売を続けるのが難しく、最終的に廃棄されることもあります。
廃棄した場合、利益は残らずすべて在庫ロスです。大量廃棄による在庫ロスは利益を圧迫するため、企業側としてもできる限り避けたいはずです。
ブランドイメージへの悪影響
インターネットによって世の中が可視化されやすくなり、世界のあらゆる情報が消費者に知られるようになりました。
また、SNSの普及もあって、それはすぐに広まってしまいます。
H&Mが毎年12万トンの売れ残り衣類を焼却処分(2017年10月)、
バーバリーが42億円相当の売れ残り商品を焼却処分(2018年6月)していたとの報道は、
世界中に広まり、消費者たちを驚愕させました。
ビジネス上の理由があってのことだとは考えられますが、このような報道が出てしまうと、
ブランドイメージへの悪影響は避けられません。
(YAHOO!JAPANニュース「H&Mがデンマークで毎年12トンの売れ残り衣類を焼却処分 テレビ局が報道」より)
(BBC NEWS JAPAN「英バーバリー、42億円相当の売れ残り商品を焼却処分」より)
在庫買取、在庫処分を考えている方へ、ブランドの価値を落とさずに在庫処分をする方法を考えましょう。
上記で述べたことをしっかり考慮して再販を行っている業者に買取を依頼することを強くおすすめします。
また、弊社Like Companyでも在庫買取を行っており、
在庫買取を企業様や個人事業主の方からの依頼を受けています。
LikeCompanyが扱っている商材
アパレル(衣類)、靴、バッグ、ブランド品、時計、化粧品、コスメ、おもちゃ、
フィギア、家電、メディア、スポーツ、ゴルフ、パソコン、カメラ、ベビー用品、
ゲーム、DVD、雑貨、食品、飲料等など基本的に全般買取対応しております。
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株式会社Like Company(ライクカンパニー)
住所 〒615-0864 京都市右京区西京極新明町3 ネットワークジャパンⅡ 1F 営業時間 9:00~18:00 定休日 土日祝 電話番号 075-874-2490 URL https://likecompany.jp
22/08/09
22/07/15
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在庫買取、在庫処分(アパレル業界の現状と課題)
アパレル業界の現状
矢野経済研究所の国内アパレル産業白書2020のデータによると、
2019年の国内アパレル総小売市場規模は前年比99.7%の9兆1,732億円となり、
横這いから若干のマイナスの推移となっています。
品目別に市場をみると、婦人服・洋品市場が前年比99.7%の5兆7,137億円、
紳士服・洋品市場が同98.5%の2兆5,453億円、ベビー・子供服・洋品市場が同99.5%の9,141億円となり、
いずれも微減という状況です。
また国内アパレル産業白書2020では販売チャネル別のシェアも調査しています。そのデータによると、
百貨店は前年比93.6%の1兆6,797億円、量販店は同98.2%の7,933億円、専門店は同99.7%の5兆514億円、
その他(通販等)は同105.4%の1兆6,428億円と、その他(通販等)チャネルが伸長したという結果でした。
国内の衣料品市場を更に長期トレンドでみると、2016年6月に経済産業省がまとめたアパレル・
サプライチェーン研究会の報告書によると、国内の衣料品市場規模は、1990年に約15兆円であったので、
そのピークから比べると約2/3の市場規模に縮小したことが分かります。
いずれにしても国内のアパレル市場2001年以降約9兆円から10兆円の間で、微増、微減を繰り返し、
ほぼ横ばい、大きな落ち込みがないと同時に伸長ないのが現実です。
低価格が進行
少し古いデータになりますが、経済産業省のレポートによれば、1990年と2010年を比較してみると、
同時期の国内生産と輸入を合わせた国内供給量は、約20億点から約40億点へと倍増しているため、
単純計算では国内の供給単価は、20年の間に三分の一に下がったことになるのです。
更に同時期の衣料品購入単価を総務省の家計調査でみると、2010年は1990年に比較して6割弱の水準にあります。
そしてこの間の衣料品の輸入浸透率は約50パーセントから96パーセントへと急激に上昇しており、
縫製の工程が海外にシフトして製造原価が低下したことも低価格化を進行させたことになります。
衣料品に対する価値観の変化
現在の就活生が生まれたのが1999年から2001年あたりですから、
就活生の皆さんの衣料品に対する価値観はユニクロやしまむらといったSPA企業の成長が色濃く影響していると思います。
もちろんファッションは個人の嗜好性が強く出る分野であるため、様々なブランドやショップ、
スタイルを愛している方は沢山いて括ることは不適切かもしれません。
しかしバブル崩壊以降、給与所得や可分所得が増えていないこともあり、
堅実な消費をベースとしてモノよりコトに対する消費を楽しむ傾向が強くなっているのは確かなことでしょう。
もちろん有名ブランドやハイファッションに対する憧れはありますが、
たとえばデートの時でも身の丈に少しプラスする程度のおしゃれでも全く違和感はないでしょう。
おしゃれが好きな人でも1シーズン着ることができれば良いという割り切りで、
比較的低価格なファストファッションをコーディネートして楽しむなど、バブル時代のブランド志向とは違う価値観でファッションを楽しんでいます。
またユニクロをはじめとしたSPA企業の製品品質も高くなり、
カジュアルなファッションセンスを満たして日常生活には必要充分な衣料品を提供しています。
そのため一部の富裕層を除いてファッショにはそれ程お金を掛けず、
どうしても高額な衣料品が必要ならレンタルするというライフスタイルも定着してきています。
総需要が伸びない中では市場のパイを取り合う競争になるのは必然です。
そしてこの20年から30年の間にアパレル市場で成長できた企業と、伸び悩み、
もしくは衰退してきた企業、高いブランド価値を維持してコアなファンを掴んで生き残っている企業、
Eコマースを軸に新しいビジネスモデルで市場に参入した企業が混然としているのが現在のアパレル業界の実像です。
アパレル業界を牽引するSPA企業とECモデル
上記の企業の中で最も苦戦しているのが高級ブランドやハイファッションでもなく、
ユニクロやしまむらのようなベーシックなカジュアル衣料やファストファッションでもない中間的なブランドや小売業です。
その中でも店舗販売に依存して、古い商習慣やサプライチェーンをそのままにしているブランドは苦しい立場に追い込まれています。
このようなブランドでは特に店舗販売とECでの販売のバランスをとるのが非常に難しく、
自社のWebサイトやZOZOTOWNや楽天、アマゾンといったEC上でも中途半端なポジショニングになってしまっています。
ユニクロやしまむらのビジネスモデルは店舗では必要十分な接客は行いますが、
コーディネートなどのファッションに対するアドバイスは行わず、顧客もそれを期待していません。
リアル店舗でも、EC上でも「気に入ったら買う、買わない」を決めるだけです。
それに対し中間のブランドは、ショップの店員のアドバイスを参考にしながら価格も含めて最も納得できるものを購入する購買パターンであるため、
ECでの親和性は限定的、補完的なものになってしまいます。
高級ブランドは、そもそも店舗でのエクスクルーシブな接客や、雰囲気、体験価値もブランドの一部であるため、
ブランド価値さえしっかり構築してコアなファン層をつかむことができればビジネスを維持していけるビジネスモデルをとっています。
従ってEC単独での競合は起こりにくいモデルです。
バブル崩壊後の日本経済の停滞した経済状況とファッションに対する価値観の変化、
インターネットという新しい消費チャネルの登場が現在の日本のアパレル業界を説明する変数と言ってよいでしょう。
アパレル業界の課題
この20年アパレル業界を牽引したSPAビジネスモデルも進化を続けているとは言っても、
未来まで盤石ということではありません。日本市場をビジネスの中核にしている企業は、
日本の人口減少と少子高齢化の影響を受けるのは自明の理です。
人口減少と少子高齢化
ここ20年ほぼ横ばいが続いている国内のアパレル市場ですが、長期的には人口減少と少子高齢化、
それによる経済の低成長やマイナス成長によって長期的には市場そのものが縮小していくことは明らかです。
もちろん衣料品にも衣料品のスマートデバイス化(服の一部分を触るだけでスマートフォン等の電子デバイスが操作できるなど)の
イノベーションは起こることが予測はされていますが、それによって衣料品の総需要が拡大することは考え難いのです。
従って国内市場だけに依存しているアパレル企業は、頑張っても現状維持か低成長を維持していくことができるかどうか、
今までと同じであれば他社に吸収合併されるか、衰退の道をたどっていくことになる可能性が大です。
成長のためにはファーストリテイリングのように積極的に海外に打って出る道はありますが、、
海外で成功を収めるのは簡単ではなく、現状それができるのは限られた企業ということになります。
SPAの課題
現在のアパレル業界で勝ち組のビジネスモデルとされるSPAですが、
このモデルは1986年にGAPの会長であるドナルド・フィッシャーによって定義されて以来約30年あまりに渡り
世界のアパレルのマス需要を牽引してきました。
日本のアパレル業界でSPA化が進んだのはアパレルブランドのワールドのスパークス構想(92年)が起点と言われています。
それまではこの業界でキャリアを積んできた熟練社員の経験や勘を頼りにしてきたため、作りすぎれば在庫ロス、
足りなければ販売機会ロスを起こしていたのがアパレル業界でした。
このモデルを強力に推進していった代表的企業がユニクロやGUブランドを展開するファーストリテイリングやしまむらです。
過去の販売データを基に売れ筋が読めるシーズン初期商品はあらかじめ作り込み、
実需期は店頭の売れ行きデータをベースにクイックレスポンスで消費を生産する需要予測を行うと同時に、
製造、流通、小売段階での一貫した管理を行うことで高粗利益率ビジネスモデルを確立していったのです。
しかしながらこのビジネスモデルが成功を収め、多くの企業がその手法を取り入れて結果、
同質化や企画(デザイナーやパタンナー)の外注化(丸投げ)が進んだこともあってSPA企業であれば成功するとは言えない状況になっています。
アパレルの需要予測は天候、気温によって大幅にずれてしまうため、
最近の気候変動の激しさによって読みにくいことや、小売、流通、
製造段階でのタイムラグどうしても発生してしまうことによっても限界が見えています。
売れ筋商品をクイックレスポンスで店頭に投入することの重要性は現在でも変わってはいませんが、
現状は維持できてもそれだけではかつてのような成長を見込めない状況なのです。
それでもITとデータを駆使して売れ筋の需要予測の精度をあげたり、小売・市場の動向を素早くキャッチして生産や流通に反映させたり、店舗内での無駄や無理を減らして業務効率を改善させるなど、SPAモデルを常にアップデートすることが必要不可欠であり、最大の課題となっています。
アパレル業界の未来
アパレル業界の未来を考える上で、重要なのがデジタルとの向き合い方でしょう。
消費者の購買行動の中にすでにWebでの検索行動や、「ショールーミング」、「ウェブルーミング」が根付いています。
ショールーミングは実際の店舗をショールームとして品物を見て触って確認するために使い、
購入は家に帰ってから安く買えるオンラインショップを通して行うという購買行動です。
ウェブルーミングはその反対で、商品をオンラインで最初に検索してから実店舗を訪れて商品を最終確認して購入する購買行動です。
この両方とも既に日常的に行われており、店舗の役割や機能も変化しています。
アパレル企業は店舗で行うサービスと、デジタルで提供するサービスを消費者の期待にそうように最適化していく必要があります。
特に店舗は「人によるコミュニケーション」が可能なので、
商品へのアドバイスが欲しいと思っている消費者に対してはその価値を提供して、
コアなファンに育ってもらうような仕組みをリアル、デジタルの両方で行っていくなどの活動が重要になっています。
非接触型ICタグを使用することによって物流から店頭管理までの効率化を行い、
人の価値を接客業務の質の向上や販売現場の人手不足対策にも役立てるなど、
先端技術を利用しながらWEBとリアルのデータを統合して活かしていく企業が行き残っていくでしょう。
更に近未来ではAIによるデザインや流行予測、需要予測による生産と販売の効率を高めて過剰在庫を減らし、
セールに頼らず適正な利益を確保することも可能になるでしょう。
消費者にはVRを利用した試着やフィッティングなどのサービスも普通に行われる時代がすぐそこまで来ています。
D2Cビジネスと個人間取引
ファッションが好きな人は「自分のこだわり」を持ってブランドや服を選んで、コーディネートを行っています。
マスの消費が力のあるSPA企業に集約されていくとしても、
「自分のこだわり」をもって自分を表現する服を選びたいというニーズは消えることはないでしょう。
富裕層はハイブランドやハイファッションでその願望を満たしていく
購買行動に大きな変化が起こらないでしょう。
一般的な生活者が「自分のこだわり」を表現する願望を満たす存在として注目されているのがD2Cブランドです。
D2C(Direct to Consumer)ブランドはメーカーや工場が自社商品を開発し、
主にECサイトを利用することで中間業者を通さず、直接消費者に商品を届けるモデルのため、
消費者は高品質な商品を低価格で手に入れることができるモデルです。
通常の場合そのブランドの創業者の「こだわり」、「思い」、「ストーリー」や「ポリシー」が機能性と併せて実現しています。
消費者との距離が圧倒的に近く、自分の感性や考え方、価値観にフィットすれば「知る人ぞ知る」的な満足感すら得られるため、
アパレル業界の新しいトレンドになりつつあります。
またCtoC(Consumer to Consumer)モデルではハンドメイドマーケットが注目されています。
国内大手のミンネは作家数がなんと14.6万人、出品されている作品数が200万点近くもあり、
洋服やアクセサリーの出品を見ているだけでも楽しいサイトです。気に入った作家にはリピーターもついています。
まさに「自分だけのもの」に近い購買欲求を満たせる選択肢としてその動向が注目されています。
シェアリングエコノミーとサブスクリプション
ドレスや礼装、訪問着などのレンタルは昔からありましたが、
最近ではアパレルのサブスクリプション(定額制利用料支払い)モデルが登場しています。
一般的に働いている女性は毎日同じ洋服を着て職場にいかないため、
服のコーディネーションは洋服に対する支出と同時に頭の痛い問題です。
その悩みにサブスクリプションという手法でアプローチして事業化したのがairCloset(株式会社エアークローゼット)です。
利用者は例えば毎月9,800円のコースを選べば、洋服はスタイリストが服を選定してくれて、
借り放題、返却期限なし、クリーニング料不要のサービスが受けられるというものです。
様々な業界でモノは所有しなくてもシェアして利用できる方が合理的という考え方も広まっており、
アパレル業界でもそれを実現する企業が生まれてきました。
このサービスの利用者が更に広まってビジネスが拡大していくと、
提供する洋服の品質の向上にも反映され好循環が生まれて、
現在の販売を前提としたアパレルビジネスにとって手ごわい競合になる可能性もあります。
アパレル業界にも様々な変化が起こっています。
「ファッション界では今日流行ったものも明日には消える!」は、
アメリカの人気テレビ番組「プロジェクトランウェイ」のMCであるハイジの決めセリフですが、
変化のスピードが速く、人の生活にも密着している業界なので興味深く、面白さを感じる方も多いかと思います。
廃棄ロスが利益を圧迫
アパレル製品は、トレンドという特有の「消費期限」があります。
値引き販売をしてもアパレル製品には、トレンドという特有の「消費期限」があります。
値引き販売をしても残ってしまった在庫は販売を続けるのが難しく、最終的に廃棄されることもあります。
廃棄した場合、利益は残らずすべて在庫ロスです。大量廃棄による在庫ロスは利益を圧迫するため、企業側としてもできる限り避けたいはずです。
ブランドイメージへの悪影響
インターネットによって世の中が可視化されやすくなり、世界のあらゆる情報が消費者に知られるようになりました。
また、SNSの普及もあって、それはすぐに広まってしまいます。
H&Mが毎年12万トンの売れ残り衣類を焼却処分(2017年10月)、
バーバリーが42億円相当の売れ残り商品を焼却処分(2018年6月)していたとの報道は、
世界中に広まり、消費者たちを驚愕させました。
ビジネス上の理由があってのことだとは考えられますが、このような報道が出てしまうと、
ブランドイメージへの悪影響は避けられません。
(YAHOO!JAPANニュース「H&Mがデンマークで毎年12トンの売れ残り衣類を焼却処分 テレビ局が報道」より)
(BBC NEWS JAPAN「英バーバリー、42億円相当の売れ残り商品を焼却処分」より)
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